虫のプロが害虫の駆除方法、殺虫剤の使い方をご紹介
プロだから知っている虫と殺虫剤のノウハウ

アリの毒餌(アリ殺し)の選び方

Q.アリ殺しの種類が多く、何を選べばいいか分かりません

A.基本的には液状か固体かという形状の違い、あとは使い勝手でしょう。

そもそもなぜ毒餌が有効なのか?

アリには「巣の外から持ち帰った餌を巣の中でシェアする」という習性を持ち、
それは働きアリだけでなく幼虫から女王アリにも行き渡ります。
加えて「女王が生存している限り、次々と新しい働きアリが生まれる」ことと
「巣の外で活動しているアリの数は巣全体の10~15%と言われていること」を
考慮すると「毒餌を持ち帰らせて女王を抹殺すること」が合理的と言えます。
家来が持ち帰った食料を食べて死ぬ、改めて考えるとなかなか悲惨

1.アリの種類により餌の好みが異なる

1-1.液状かジェル状か固形か

つまりネズミ駆除に使用する毒餌と同様に「殺虫成分の良し悪し」というよりは
「きちんと食べてくれるかどうか」が重要です。
では「毒餌をきちんと食べさせるための要因は何か?」、その一つに餌の形状が
挙げられます。
アリの種類により「顆粒剤のような固形物を好む」や「ゼリー状のものを好む」
などがあります。
左から液状、ジェル状、顆粒状の毒餌

1-2.まずはどれか一つ試してみる

しかし「どのアリが固形の餌を好むのか液状の餌を好むのか」についてはプロでも
よく分かっておらず、経験に頼る場面が多いです。
あくまで筆者の印象(というよりは思い込みレベル)ですが、一般家庭に出現する
黒くて小さいアリはジェル状の毒餌がよく効きます。
キャンプ場や旅館など山間部に多い大きなアリであれば顆粒状の毒餌かと思います。
もしそれで駄目であれば、無責任なコメントですが餌の形状を変えてみましょう。
何となくだが小さいアリは大体ジェル状の毒餌でカタがつく

1-3.餌の成分はあまり気にせず

他の毒餌を食べさせる要因に「餌の成分」も挙げられますが、これは正直に言って
筆者にはほとんど分かりません。
ネット上では「タンパク質系の餌から糖類系の餌に変えてやると良い」といった
専門家が書いたようなコメントを目にすることがあり、もちろんそれは事実です。
しかし、どの毒餌も「アリの好む餌をバランスよく配合」とラベルに書かれており、
はっきり言って使ったことが無い毒餌は「使ってみないと分からない」のです。
それよりは先述の「餌の形状」や後述の「使いやすさ」、またケチ臭い話ですが
値段(高い方がよく食べる・・・時もある)などを判断基準にしましょう。

2.使い勝手も重要

2-1.さらっとした液状の毒餌の特長と注意点

アリ用の毒餌は「さらっとした液状」と「ゼリーのようなジェル状」、それと
「粒状の顆粒状」の3タイプに分けられ、それぞれ長所・短所が異なります。
このうち「さらっとした液状」については軽く流すように施工できるため、
作業性は良いと思います。
一方でコンクリートや地面に散布すると、染み込んでしまうのが難点ですが、
専用の容器(餌皿)が付属している商品だとその心配はありません。
極端な例だが、サランラップを敷いても染み込み防止にはなる

2-2.ジェル状の毒餌の特長と注意点

ジェル状の毒餌」は注射器のような容器に入ったものが多く、付属している
押し出し棒で中身を出しながら使用します。
最初だけ戸惑うかもしれませんが、慣れると散布量を小刻みに調節できるので
細やかな作業に適しています。
しかし、押し出し棒やキャップといった付属品があり、紛失には注意です。
(押し出し棒を無くした場合、割り箸で無理やり出す荒業もありますが)
シリンジを差し込んで、注射器のように中身を押し出す

2-3.顆粒状の毒餌の特長と注意点

「顆粒状の毒餌」には「塩コショウを振るように出すもの」や「瓶から出して
散布するもの」などがあります。
液状やジェル状の毒餌と違い、散布した場所を「濡らさない」や「べたつきを
残さない」のが利点でしょう。
しかし、固形なので何かの拍子に周りへ散らばらないように注意しましょう。
ケーブルモールを半分に切って皿にしてもよい(写真はゴキブリの毒餌に使う容器)

他にも不明な点があれば弊社スタッフまで

以上、アリの毒餌を使い分ける基準を解説しましたが、この他にもアリの駆除方法を
 同じ「アリ類カテゴリーの記事」にまとめていますので、併せてご覧下さい。
それ以外にも不明な点があれば、弊社までメールお電話いだければと思います。