虫のプロが害虫の駆除方法、殺虫剤の使い方をご紹介
プロだから知っている虫と殺虫剤のノウハウ

アリの毒餌(アリ殺し)の選び方

Q.アリ殺しの種類が多く、何を選べばいいか分かりません

A.基本的には液状か固体かという形状の違い、あとは使い勝手でしょう。

そもそもなぜ毒餌が有効なのか?

 アリには巣の外から持ち帰った餌を巣の中でシェアするという習性があります。そしてその餌は働きアリだけでなく幼虫や女王アリにも分け与えられます。この習性を逆手に取ったのがアリ用の毒餌です。毒餌を分け合って食べた働きアリは死ぬ。働きアリから毒餌を与えられた幼虫も死ぬ。働きアリから毒餌を献上されて召し上がった女王アリも死ぬ。こうして巣ごと駆除される訳です。

家来が持ち帰った食料を食べて死ぬ、改めて考えるとなかなか悲惨

1.アリの種類により餌の好みが異なる

1-1.液状かジェル状か固形か

 なお、アリ用の毒餌もアリがきちんと食べてくれなければ効果がありません。従って、食べさせる工夫が大事です。これはネズミの毒餌(殺鼠剤)と同様です。そしてアリが毒餌を食べてくれるかどうかの要因として挙げられるのが餌の形状です。アリの種類により顆粒剤のような固形物を好む、あるいはゼリー状のものを好むといった違いがあります。

左から液状、ジェル状、顆粒状の毒餌

1-2.まずはどれか一つ試してみる

 ただ、どのアリが固形の餌を好むのか液状の餌を好むのかは駆除のプロにもよく分かっておらず、経験に頼る場面が多いです。そのため、まず手軽に利用できるジェル状のものを試す、それで駄目なら顆粒状のものにするなどしてみるとよいでしょう。筆者の経験に限れば、一般家庭に出現する黒くて小さいアリはジェル状の毒餌がよく効く印象があります。キャンプ場や旅館など山間部に多い大きなアリが顆粒状の毒餌を食べた例(弊社試験)もあります。

何となく小さいアリは大体ジェル状の毒餌で解決することが多い

1-3.餌の成分はあまり気にせず

 加えて、毒餌を食べるかどうかの要因には餌の成分も挙げられます。事実、ネット上では「タンパク質系の餌から糖類系の餌に変えてやると良い」といった専門家が書いたようなコメントを目にすることもあります。しかし、どの毒餌も「アリの好む餌をバランスよく配合」とラベルに書かれており、これはあまり気にしなくてよいと思います。それよりは先述の餌の形状、また後述の使いやすさ、こういった部分を参考にしてみましょう。

2.使い勝手も重要

2-1.さらっとした液状の毒餌の特長と注意点

 アリ用の毒餌は「さらっとした液状」と「ゼリーのようなジェル状」、それと「粒状の顆粒状」の3タイプに分けられ、それぞれ長所・短所が異なります。このうち「さらっとした液状」については軽く流すように施工できるため、 作業性は良いと思います。一方でコンクリートや地面に散布すると、染み込んでしまうのが難点ですが、専用の容器(餌皿)が付属している商品だとその心配はありません。

極端な例だが、サランラップを敷いても染み込み防止にはなる

2-2.ジェル状の毒餌の特長と注意点

 「ジェル状の毒餌」は注射器のような容器に入ったものが多く、付属している押し出し棒で中身を出しながら使用します。最初だけ戸惑うかもしれませんが、慣れると散布量を小刻みに調節できるので細やかな作業に適しています。しかし、押し出し棒やキャップといった付属品があり、紛失には注意です。押し出し棒を無くした場合、無理やりですが割り箸などで押し出す方法はあります。

シリンジを差し込んで、注射器のように中身を押し出す

2-3.顆粒状の毒餌の特長と注意点

 「顆粒状の毒餌」には「塩コショウを振るように出すもの」や「パウチから出して散布するもの」などがあります。液状やジェル状の毒餌と違い、散布した場所を「濡らさない」や「べたつきを残さない」のが利点でしょう。しかし、固形なので何かの拍子に周りへ散らばらないように注意しましょう。

ケーブルモールを半分に切って皿にしてもよい(写真はゴキブリの毒餌に使う容器)

他にも不明な点があれば弊社スタッフまで

 以上、アリの毒餌を使い分ける基準を解説しましたが、この他にもアリの駆除方法を 同じ「アリ類カテゴリーの記事」にまとめていますので、併せてご覧下さい。それ以外にも不明な点があれば、弊社までメールお電話いだければと思います。