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コウモリ対策の基本

Q.コウモリで困っています。どのような対策が効果的ですか?

A.大きく分けて2通りの手段があります。以下に予想される状況と併せて解説します。

まずは住み着いているか、そうでないかで判断

コウモリで困っている方からのご相談は「コウモリが家の軒先などにとまっている
ことが原因のもの」と「家の天井裏などに住み着いていることが原因のもの」の
2つに大別されます。
そして被害の内容は、まず前者の場合「見た目の不快感・恐怖感」や「周りに糞を
落とされること」でしょう。一方で後者の場合「天井から鳴き声・物音がする」や
「糞や尿による天井裏や家屋外周の汚染・悪臭の発生」に始まり、「ダニといった
寄生虫の問題」や「その他衛生的な問題」など深刻度が増します。
これらの被害をなくすために「どんな方法が有効か?」や「自分でできる限界」に
ついてケースごとに解説します。
天井裏に散乱していたコウモリの糞

1.住み着いておらず、飛来するだけの場合

玄関やベランダの軒先、または建物の外壁や基礎にとまっているだけであれば、
単純に休憩しているのでしょう。
この場合、コウモリが危機を感じると逃げることから対策は立てやすいです。
なので「追い払う」と「後で戻って来なくする」ための方法を考えましょう。
建物の基礎で眠り込んでいる時もいる。ただ、恐らくこれは偶然の飛来。

1-1.鳥類忌避剤で追い払う

弊社が一番お勧めしているのが鳥類忌避剤「バードフリー」を使用する方法です。
これはベタベタしたジェル状のもので、柑橘系の香りを放ちます。
このバードフリーを「コウモリがよくとまる場所」へ「可能であれば直接塗る」、
あるいは「付属のトレーとフックを用いて吊り下げ設置する」ことです。
直接塗った方が効果は高いと思われますが、「除去が難しい」ことと「周りを
汚す」という点で「トレーとフックを用いる方法」が推奨されます。
これにより「においによる不快感」と「偶然触れた時のベタベタした不快感」で
コウモリを追い払うことができます。
鳥類忌避剤「バードフリー」の施工事例(弊社の社員自宅にて)。無事解決されました。
設置の様子の拡大写真(透明のトレーと赤いフックは元々バードフリーに付属しています)。

1-2.スプレータイプのもので追い払うのは有効か?

コウモリがよく飛来する場所へ「コウモリ用と書かれたスプレー」を事前に
散布する方法について、瞬間的な効果はあるかもしれません。
ただし、これらはあくまでコウモリを「潜んでいる場所から追い出すこと」を
主眼とした商品であることが多いです。
加えて、使用場所が野外であることを考慮すると、においが1日足らずで拡散し、
すぐコウモリが再来する恐れがあります。
もちろん2~3日おきに噴霧すれば、その弱点をカバーできるかもしれませんが
手間やコストの割には良い結果が得られない場合もあります。

2.住み着いているのが確実な場合

天井裏や壁の中をコウモリにねぐらとして利用されており、季節によっては
子育ての場や冬眠の場所にもなっている、厄介な状態です。
対処の手順としては「コウモリが出入りしている場所」の特定から始まり、
次に「コウモリの追い出し作業」、そして最後に「出入り口を封鎖」と
いう流れです。
ただし、「出入り口の特定と封鎖」は屋根の上など高所作業となることが
多く、専門の業者に依頼した方がよい場合もあります。
ここでは手の届く範囲で作業できる前提で「出入り口の特定」のコツや
「コウモリの追い出し」、「出入り口の封鎖」の方法を解説します。
天井裏に潜むコウモリたち。衛生上の問題より素手で触ることは厳禁。

2-1.出入り口特定のポイント

まずコウモリと言えば夜行性ですので、建物の中から出てくるのは当然夕方から
明け方の間です。
なので太陽が沈み始めたら、彼らが大雑把にどこから出て来るのかを観察します。
ただ、ここで曲者なのが「その群れにより活動開始時間が微妙に異なる」点です。
極端な例ですが「夕暮れとともに飛び立つ」や「真っ暗になるまで出て来ない」
こともあるようです。
よって、「どこから出てくるか」だけでなく「いつ頃から活動を開始するか」も
確認しておきましょう。

調査を始めるのは夕方くらいから。夕日が眩しい。

2-2.コウモリを追い出す方法

前提条件として、コウモリが活動を開始する時間帯に合わせることです。
昼間は外敵に見つかるリスクの方が怖いのか、潜み場所を破壊しない限り
なかなか出て来ないでしょう。
また、出入り口が複数ある場合は後述する「封鎖の方法」で1ヶ所を残し、
残りは塞いでしまいます(そして追い出し後に残る1ヶ所を塞ぐ)。
そうして時間と準備が整えば、彼らが潜んでいる空間に向けてスーパー
コウモリジェットコウモリ専用スプレーなどを噴霧しましょう。
弊社社員による追い出し作業のシーン。

2-3.出入り口の封鎖の方法

ネズミが出入りしている穴の塞ぎ方」と同様で、要はコウモリがそこに
出入り出来なくなればよく、極端な話、粘土でもよいです。
ただし、換気口のように「通気性が求められる場合」は金網で塞ぎます。
なお、コウモリはネズミに比べて「金網や金属板を齧って破る」能力が
劣るため、そこまで神経質になる必要はありません。
また、通気性が要らない代わりに「開口部が大きい」や「周囲が平面」の
場合はホームセンターのパンチングメタルを使用します。
他に外壁の割れ目などであれば、小動物の対策に確かな実績を持つマウス
ストッププレミアムがお勧めです。
金網による換気口の封鎖事例。
パンチングメタルによる隙間の封鎖。
マウスストッププレミアムで封鎖を試みる筆者。

3.コウモリ対策の注意点

3-1.夏と冬は避け、春か秋に勝負をかける

先に少し触れましたが、「繁殖期となる夏」と「冬眠シーズンとなる冬」の間は
追い出しが難しく、満足するような結果が得られません。
地域により若干ずれますが、なるべく桜の時季から梅雨を迎える前、あるいは
9月頃から紅葉の時季の間を狙って対策を立てましょう。
ゴールデンウィークの頃はチャンスと言える。お月見の時季も同様。

3-2.許可なく捕獲・殺処分はできない

コウモリの仲間は「鳥獣保護法」で守られており、「許可なく殺処分する」や
「捕獲すること」が法律上できません。
よって上記の通り「建物に近寄せない」や「追い出す」、「出入り口の封鎖」が
対策の基本となります。

さらに詳しく知りたい時は弊社スタッフまで

以上、コウモリ対策の基本を解説しましたが、他にも疑問に思われることなどが
ございましたら弊社スタッフまでお問い合わせいただければと思います。
お問い合わせはメール電話で受け付けておりますので、お気軽にどうぞ。