A. ヤネホソバという蛾の幼虫かもしれません。以下にどんな虫なのか、駆除方法と併せて解説します。
まず姿を見かけるのはマンションの廊下やベランダ、また戸建て住宅の犬走り(建物周りのコンクリート張りの部分)、外壁、ベランダといった場所です。次に出現しやすいのは主に梅雨の時季とお盆明け。最後に見た目は灰色をした2〜3センチの毛虫です。これらの条件が揃っていればヤネホソバと思われます。
一般に毛虫といえば庭木や観葉植物、野菜の葉っぱを食べるイメージです。しかしヤネホソバの幼虫は少し変わっていてコケや地衣類を餌にします。従って自然界ではそうした餌が生えている木の幹や岩の上で細々と暮らしています。では、そんな彼らが一般住宅に現れるのは何か?その答えは建物の周りにもコケや地衣類の生えやすい場所があるからです。例えば屋根の隙間や外壁、基礎周り、他にはウッドデッキなどが挙げられるでしょう。こういった場所でヤネホソバの幼虫がひっそりと生活しており、そして時々ベランダや外壁などに姿を現すわけです。庭木や植木鉢といった植物と無縁な家にも彼らが出現する理由がこれです。
ヤネホソバの幼虫の体毛には毒があり、刺されると痒みや痛みを伴う皮膚炎を起こします。もちろん触れなければ良いのですが、ベランダに置いたスリッパの中に幼虫が隠れていると知らずに履いてしまった場合。あるいは庭いじりの時、プランターに付着した幼虫に気づかず触れてしまった場合。こんな時に刺される恐れがあります。また糸を吐いてベランダの天井や壁の上からぶら下がりながら落ちてくることもあり、この場合は顔や首筋周りを刺されてしまうことがあります。
理想を言えば建物に生えたコケや地衣類をきれいに掃除することでしょう。筆者の自宅でも一度ベランダにヤネホソバが大量発生しましたが、デッキブラシ等で外壁の緑色っぽく変色した部分を中心に丁寧に掃除して再発を許しませんでした。建物の外壁全体の清掃であれば高圧洗浄機も有効でしょう。
しかし屋根の隙間といった場所にコケや地衣類が生えており、そこからヤネホソバの幼虫が発生している場合は清掃が難しいため殺虫剤で駆除しましょう。様々な害虫に使用できる殺虫剤が極めて効果的であることは弊社で確認しており、これをベランダや外壁、犬走りといった幼虫をよく見かける場所へ散布しておきましょう。
他に、ベランダや窓から幼虫が室内に侵入する場合があります。対策として窓のサッシ周りに窓用殺虫剤を散布しておきましょう。これもヤネホソバの幼虫に効果があることを弊社の試験で確認しています。また、屋内にいる幼虫は殺虫成分不使用の殺虫剤や人への安全性が高い殺虫剤を直接噴霧して駆除するとよいでしょう。
以上、今回はヤネホソバというコケや地衣類から発生する蛾の幼虫について解説しました。害虫で困っている皆様にとって参考になる記事であれば幸いです。