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秋のカメムシ対策について

Q. 毎年秋になるとカメムシが大量に飛んできて困っています。どうしたらいいですか?

A. カメムシが「建物周りへ飛んできた時」・「屋内へ侵入しようとした時」・「屋内に侵入した時」の3ステップに分けて考えましょう。

飛んで来ることを止めるのは難しい

秋になると増えるカメムシの大量発生・屋内侵入の相談。これは詳しく解説するまでも無く「カメムシが冬眠する場所を求めてやって来る」ことが原因です。特に山間部の旅館、野山に近い住宅街ではほぼ毎年悩まされていることでしょう。
 この場合、残念ながら「カメムシの発生源が近くにある」ため飛んで来ることを阻止するのは難しく、建物に飛来したカメムシを「片っ端から駆除する」ような対策が中心となります。以下にその考え方を3つのステップに分けて解説します。

Step1. 建物周りへ飛んできた時に駆除する

1-1. 対策の概要

 まずは「カメムシが飛んで来ると思われる場所」へあらかじめ殺虫剤を散布しておきます。散布した場所にカメムシが飛んできて、そしてそこに撒かれた殺虫剤に触れ続けているうちに死亡させる作戦です。

殺虫剤を散布すると、しばらくの間そこに殺虫効果が残る。それにカメムシを触れさせる。

1-2. 建物外壁への散布がメイン

 では「殺虫剤を散布すべき場所」を整理します。毎年カメムシの飛来に悩んでいるのであれば「どこで姿をよく見かけるか」が既に分かっているので、そこを「重点的に散布する場所」としましょう。それ以外では建物の外壁を基本と考え、一般住宅なら玄関周りやベランダ全体、アパートやマンションであれば共用部分の廊下や階段周りも加えます。旅館などでは日当たりの良い中庭やテラス席周りも状況に応じて含めるとよいでしょう。あるいは「カメムシが飛来すると困る場所」から優先して殺虫剤を散布、余裕があれば建物全体をカバーする考え方でもよいと思います。

ベランダは一戸建て住宅やマンション、旅館など現場を問わずカメムシが飛んで来やすい場所。

 これら広い範囲への散布は「水で薄めて大量に散布可能な殺虫剤」が適任です。その中から「カメムシ駆除に使える」、かつ「殺虫剤のにおいが無くて、効果も長持ちするもの」が理想的でしょう。
 また、散布時に使用する噴霧器も「薬液タンクの容量が適切、プラスチック製で軽いもの」がオススメです。 薬液タンクの容量が少なければ薬液の補充が頻繁で面倒、しかし逆に多すぎても満載時に重くなって作業中の持ち運びが不便です。

弊社オススメの殺虫剤・噴霧器のセットはこちら。

1-3. 窓ガラスとサッシには専用の殺虫剤を散布

 さらにカメムシが窓ガラスに付着していることもあります。この場合も「水で薄めて散布する殺虫剤」で対処できなくないものの、「窓ガラスが白く曇る」や「サッシ周りにべたつきが残る」などの理由であまり推奨しません。
 ここでは「窓に噴霧できる殺虫剤」を利用しましょう。窓ガラスを曇らせないなどの配慮がなされており、美観を損ねません。中でも「速乾性でべたつかず、においも残らないもの」は仕上がりがきれいでオススメです。

窓用殺虫剤の噴霧シーン。ガラス面から30~40センチ離れて噴霧するのがコツ。

Step2. 屋内へ侵入しようとした時に駆除する

2-1. 侵入経路を予測し、そこにも殺虫剤を散布する

 また、カメムシの侵入経路上に殺虫剤を散布し、「侵入する直前で駆除する」ことも重要です。最後の防衛ラインを築くと言い換えてもよいでしょう。ではその新入経路とはどこか?気をつけたいのは窓のサッシであり、一見隙間が無いように見えてカメムシには侵入できるだけの余地があります。玄関や勝手口の扉周りも同様です。加えて、換気扇の吸気口も見逃してはならない場所です。

サッシの隙間に侵入し、しばらくそこでとどまる。この時に殺虫剤と触れさせて駆除する。

2-2. 散布する場所に応じて殺虫剤を選ぶ

 このうち、窓のサッシは「べたつきを残さない」や「においがしない」という 点を考慮して「速乾性でほぼ無臭の窓用殺虫剤」を選んでおけば問題ありません。 「玄関・勝手口の扉の隙間」も同様の「窓用殺虫剤」を散布した方が手早く済む でしょう。ただし、換気扇の吸気口付近は(カメムシが殺虫剤の散布面に触れる 時間を稼ぎたいため)周りの壁面にもしっかり散布する必要があり、その上で 外壁への散布に使用する殺虫剤の方がよいでしょう。

換気口は、中に殺虫剤が入らないよう注意しながら周りの壁やフードに散布する。

Step3. 屋内に侵入した時に駆除する

3-1. 侵入したものを直接駆除するしかない

 それでもカメムシの数が多すぎる環境では完全に防ぎきれず、屋内への侵入を 許すこともあります。この場合は直接カメムシを駆除するしかなく、その方法は 「ティッシュで包んで捨てる」、「殺虫剤で駆除する」など何でも良いです。  殺虫剤を使用するのであれば、「操作が簡単」で「すぐ殺虫効果が出る」点で スプレー式のものがよいでしょう。数が多すぎて手に負えなければ、燻煙剤も 選択肢の一つに挙がります。

室内に大量侵入された場合は燻煙剤の使用も検討する。

3-2. スプレー式殺虫剤の選び方・オススメ

 スプレー式の殺虫剤には色々な種類がありますが、その中で殺虫成分が入って いないものが希望であれば「凍らせて殺虫・駆除するもの」でよいでしょう。 一方、屋内なので「油っぽいシミ、べたつきを残したくない」というのであれば 「殺虫成分の安全性がより高く、かつ速乾性で仕上がりがよい」タイプのものも オススメです。  なお、差し出がましいようで恐縮ですが、これらは噴射剤として可燃性ガスを 使用しており火気厳禁です。この時季は暖房機器が利用され始めるため、火災を 起こすことがないようご注意いただければと思います。

蚊取り線香に使用されているのと同じ殺虫成分なので、より安心なスプレー式殺虫剤。

 以上、秋の時季に特有のカメムシ対策について解説をしました。具体的な方法・ 道具がよく分かったというご意見をいただければ幸いです。一方で使用上の注意や 散布のコツといった疑問点・不明な点がございましたらお電話もしくはメールで ご質問いただければと思います。