A. 1ヶ月を目安に交換しましょう。
害虫に食べさせることで殺虫効果を発揮する毒餌。アリやゴキブリの駆除に用いられるものが多く、害虫駆除業者専用のものも開発されています。お話が逸れますが駆除業者の方はこれら害虫用の毒餌を「ベイト」や「食毒剤」と呼びます。さて入手が簡単、使い方は箱から出して害虫がいそうな場所へ置くだけ、手軽に利用できる毒餌。置いてみたはいいけれど「置いてからどのくらい経つと交換すればよいか?」というご相談を受けることがあります。先に結論を言えば1ヶ月ほどでしょう。これは時間経過とともに毒餌の「害虫をおびき寄せる、そして食べさせる気を起こす餌の成分」が劣化してしまうためです。また毒餌の表面に埃や砂などのゴミが付着することで「害虫が餌だと気づきにくくなること」も理由でしょう。
ここで出てくるのが「置いてから1ヶ月や2か月が経過していても、仮に害虫がその毒餌を食べれば死ぬのか?」という疑問です。答えは使われている殺虫成分にもよりますがイエスです。効果が出る場合もあります。これに関しては過去に弊社でゴキブリ用の毒餌を使って簡単に実験したことがあります。会社の実験室の片隅に開封して1年間放置した毒餌、それと開封したばかりの新しい毒餌を用意し、どちらの毒餌がゴキブリによく効くのかを調べたのです。結果、1年が経過した毒餌でも死亡するゴキブリが見られ、殺虫成分の効果そのものは失われていないことが分かりました。一方で新しい餌に比べて食いつきが極めて悪く、この点で「食べさせれば効く」ものの「餌としての魅力に乏しく、食わせにくいため効果を出しづらい」と結論付けられました。
3-1. ゴキブリ用のものは比較的簡単
ゴキブリ用の毒餌はあらかじめ容器に入れられたものが多く、それを使うと交換作業の手間はかからないでしょう。種類はいくつかありますが、一般住宅に多く出現する黒くて大きなゴキブリ(クロゴキブリ)が集まりやすいもの、飲食店の厨房に多い小さくて茶色いゴキブリ(チャバネゴキブリ)が集まりやすいものなど、対象になるゴキブリの種類を選ぶ際の参考にすればよいでしょう。また容器が透明なものは残量が分かりやすい利点があります。
3-2. アリ殺しは必要に応じて工夫する
アリ用の毒餌、いわゆるアリ殺しにも容器入りのものがあります。他に注射器で押し出すようにしてアリがいる場所へ塗布するもの、砂粒状で同じくアリが歩いている場所や巣穴の近くにばら撒くものがあります。いずれも容器が付属しておらず交換や回収が難しい場合があります。こんな時は適当なお皿やカップに入れてしまう手もあります。筆者は地面にサランラップを敷く、または段ボール片を置く、そしてその上にジェル状のアリ殺しを塗布するといった手段で現場を汚すことなくアリに毒餌を食べさせて駆除することに成功しました。
以上、開封してアリやゴキブリがいるところに置いた毒餌の交換頻度について解説しました。最後に疑問に思うことは「未開封の毒餌であれば、購入してからどのくらい経っていても使えますか?」でしょう。厳密には分かりませんが1年以内であれば問題なく、加えて高温になる場所を避け、涼しい場所で保管していれば心配ないでしょう。高温条件を避ける理由は「害虫をおびき寄せる、食べる気を起させる餌成分の劣化が懸念されること」であり、一般住宅であれば玄関の靴箱の下や物置の隅などで保管しておけばよいと思います。