A. ダニではなくオオワラジカイガラムシの幼虫と思われます。どんな虫なのか、また人から吸血はしないのか、駆除方法は何か、以下に解説しましょう。
まず冬の寒い日なのに家の周りで大量発生し、時々家の中にも入ってくる。次に大きさは1mmほどで茶色や黒っぽい色をしており、そしてダニのような姿である。最後に潰すと赤や黄色っぽい汁が出るため吸血する虫に思えてくる。これらが当てはまればオオワラジカイガラムシで間違いないでしょう。
カイガラムシと聞いて畑の害虫、または園芸の害虫を連想した方もいるでしょう。その通りで本種も植物の汁(体液)を吸って生活しています。アブラムシやカメムシと同じだと言えば分かりやすいでしょうか。なお植物は植物でも、このオオワラジカイガラムシが好むのは樹木です。一般にカシ類、シイ、マテバシイ、クリといったものにつくことが多いようです。ここから分かる通り人から吸血することはありません。
オオワラジカイガラムシの一生は少し変わっており冬に卵が孵ります。詳しく言えば、まず夏に成虫が出現して雄と雌が交尾します。産卵も夏のうちに済ませます。卵は本種が好む木の、その樹皮の裏や裂け目、あるいは根元近くにまとめて産み付けられます。そして卵は秋を越えて冬に次々と孵化する訳ですが、ここで問題が起こります。誕生した幼虫は何故か木の上にとどまるのではなく、しばらくの間周りの地面を歩き回ります。この時に建物の近くにもやって来ることがあるのです。
大きく2つに分けて考えます。まず1つは家の周りを歩き回っている幼虫を駆除する方法です。殺虫剤をあらかじめ家の周りに散布しておきます。そうすることでオオワラジカイガラムシの幼虫が外を歩いているうちに殺虫剤を撒いた場所に触れ、そして外で殺虫されます。色々な害虫に効果があり、ニオイが少ないものがお勧めです。また家の中に入って来ることを阻止するため、窓ガラスやサッシに窓ガラス用殺虫剤を噴霧しておくとよいでしょう。
もう1つは家の中に入って来た幼虫を駆除する方法です。掃除機で吸引することも一つの手段です。ただしオオワラジカイガラムシは体が柔らかくて潰れやすいこと、潰れると赤や黄色の体液が周りに付着すること、壁紙などを汚す恐れがあること、これらを考慮して慎重に行います。殺虫剤で駆除する場合は屋内での噴霧を考慮して殺虫成分を利用していないもの、または安全性がより高く速乾性に優れたものなどがお勧めです。
以上、冬に家の周りで見られることがある虫について解説しました。他にも不明な点などがあれば、お問い合わせいただければと思います。