前回は一般住宅でクロゴキブリを駆除する場合の考え方についてお伝えしました。 今回は少し応用で、アパートの特殊なケースをご紹介するとともに個人で出来る範囲の対策と考え方を紹介します。
場所はアパートの最上階にある共用部廊下で、ある日クロゴキブリの幼虫が歩いているのを目撃しました。それ以降も時々1~2匹、同じ場所で目撃するという具合でした。クロゴキブリは屋外に生息し、また建物の壁は難なく這い上がることができます。従って、最初は外にいるものがたまたま壁を登って来ただけであろうと考えていました。が、目撃が増えるつれ不審に思い、調査をした次第でした。
ここでクロゴキブリが建物の3~4階へ到達する手段を考えると、周りに植えられた木から飛んできた可能性が挙げられます。クロゴキブリはカブトムシのように「空中を自由に飛び回ること」はできませんが、高い所から滑空することはできます。ただ今回の場合、見つかったのは全て幼虫です。ゴキブリに限らず虫全般に言えることですが、成虫にならない限り羽(専門的には翅と書く)は生えないため、この「周りの高いところから飛んで来た可能性」は否定されます。
そう思ったある日、また同じようにクロゴキブリの幼虫がアパート最上階の廊下に出現しました。ふと思いついたことがあり、そのまま駆除せず泳がせておき、その行動を観察しました。すると共用部廊下の端に設けられた排水溝へ至り、そこから一定間隔おきにある排水口の中へと姿を消す様子が見られました。これでピンと来たのですが、要はこの排水溝にある排水口(ややこしい)から雨水配管の中を通り、あちこちの階へと移動しているようでした。
また雨水配管を辿っていくと、最後は屋外の雨水桝に繋がっていました。こういった雨水桝もクロゴキブリの生息場所として利用されることがあります。そのため、ここに潜んでいるものが配管を通って各階の共用部廊下の排水口から姿を現しているものと推察されました。
なお、そんなクロゴキブリの対策ですがアパートやマンションでは個人で共用部に殺虫剤を散布することが困難です。そのため、自室前の廊下へクロゴキブリが不意に出現した時のために玄関にスプレー式の殺虫剤を置いておくなどの対策に限られます。また自室のベランダにて排水口から配管を伝ってやってきたクロゴキブリが姿を現すかもしれません。これはゴキブリを粘着糊で捕獲するものを設置しておくなどの対策が挙げられます。それでもベランダからクロゴキブリが室内へ侵入した場合は前述の通りスプレー式の殺虫剤を常備しておき、それを使って駆除するとよいでしょう。